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ピペット校正のヘッダー


マイクロピペットの校正


身近な実験器具であるマイクロピペット
その校正について、皆さんは正しい認識をされていますか?
「ズレ(誤差)が大きくなったらやれば良いんでしょ?」という程度の認識ではないでしょうか?


今回、ピペット校正の品質確保に関わる制度を運営している IAJapan と、
JCSS校正事業者としてメーカーでピペット校正をおこなっている企業2社のご担当者さまに、ピペット校正についてお話いただきました。



ピペット校正の品質を支えるIAJapanは、「安全とあなたの未来を支えます」をスローガンに、日本の産業や国民の安全を支える国の機関である(独)製品評価技術基盤機構にあります。
その活動について、ご担当者さまに伺いました。



製品評価技術基盤機構 nite

「IAJapan」はどんな施設ですか?


NITE(製品評価技術基盤機構)内にある「認定センター」の事であり、日本で唯一の公的認定機関です。
IAJapanでは、国際規格であるISO/IEC 17025に基づき、試験事業者や校正事業者が「試験・校正を実施する上で適切な能力があるか?」を審査し、認定・登録しています。
校正分野では、JCSSの登録をおこなっており、登録された校正事業者は「JCSS校正」を行うことができます。


ISO/IEC17025:
試験所・校正機関が正確な測定/校正結果を生み出す能力があるかどうかを、第三者機関が認定する規格




「JCSS校正」って何ですか?


JCSSは、「Japan Calibration Service System」の略称で、「計量標準供給制度」と「校正事業者登録制度」から成る計量法トレーサビリティ制度を表しています。
IAJapanでは計量法に基づいて、「校正をおこなう技術能力があるか?」を、中立的な立場で公平・公正に審査し登録する「校正事業者登録制度」を運営しています。

登録された事業者が発行するJCSS標章が記載されたJCSS校正証明書は、計量計測トレーサビリティが確保された信頼の証となるのです。

JCSS

JCSSは日本国内の制度ですが、国際的に様々な物やデータが流通する中で、他の国で同様のトレーサビリティが求められることがあります。 しかし、対象国毎に承認を得る事は非常に大変です。
これを解決するために、国際MRA (Mutual Recognition Arrangement、相互承認取決)という枠組みがあります。

IAJapanは、認定機関同士の国際機関であるILAC(International Laboratory Accreditation Cooperation: 国際試験所認定協力機構) による国際MRA(ILAC MRA)に署名しているため、ILAC MRAマークとJCSS認定シンボルが入った校正証明書は、国際的に受け入れられるものになり、
アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアなどの国際MRA認定を受けた校正機関が発行する校正証明書と同等に扱われます。




そもそも「校正」ってなんですか?

『測定値がズレていたので修正/補正して、正しくしました』という作業ではないのですか?


間違えられやすいのですが、校正は、測定値が「これだけズレていますよ」と示すことを指し、その内容を記載した物が校正証明書です。
ピペットの場合「設定を100uLにしたけど、分注された液体は本当に100uLなのか?どれぐらいズレているのか?」を証明する事が校正になります。
“ズレをメンテナンスで直す事”は校正に含まれません。




マイクロピペットのJCSS校正とは?


2009年にJCSSの体積区分の一種類として「ピペット」が加えられました。
マイクロピペットのJCSS校正は、JCSS登録事業者が、JCSS登録審査で確認された「ピペットの校正」手順に従っておこないます。
そして、その結果をJCSS校正証明書として発行しています。




その校正証明書には合否判定がないのですか?


校正証明書には、校正値(測定値のズレ)と校正の不確かさ等が記載されます。
結果についての合否判定(適合性の表明)は必須の要求事項でないこともあり、記載されない場合が多いです。
校正で得られたズレが許容できるか?は、各メーカーやご所属の研究施設、法令などによって異なるため、校正の結果を得てご判断いただく事になります。

校正時にメーカー等により「検査成績書」などの合否判定書が発行されるケースがあります。




校正をどの程度の頻度でおこなうべき?


施設や法令などで規定されている場合は、その指示に従う形になりますが、
例えば、1年ごとに校正を実施している場合、昨年と今年で、数値に大きな変動がなかったら、その1年間におこなった実験結果の信頼性が高まります。
しかし、1年後の校正において許容できないズレが認められた場合、いつからズレていたのか? 期間中のどの実験結果まで信頼できるのか?という疑念が生じます。

このように、試験自体の信頼性を向上させるためにも定期的に校正をおこなう事が重要です。
頻度については、試験の重要性や、かかる費用、機器を使えない時間が生じる点などを考慮して、計画的にコンスタントにおこなう事が重要です。








IAJapanで、校正の意味を教えて戴いたうえで、実際にJCSS登録事業者としてピペット校正をおこなっている2つのメーカーの校正センターにお話を伺いました。


ニチリョー


日本製のマイクロピペットとして高い評価を受けているニチリョー社製マイクロピペット「ニチペットシリーズ」


ニチリョー 社の生命



日本硝子量器株式会社として、ガラス体積計(メスシリンダーなど)を製造していた頃から、『正しい測定は社の生命』として測定技術に力を入れてきた(株)ニチリョーの、埼玉県越谷市にある校正サービスセンターで、品質保証部長の新井様と校正サービスセンター長の磯貝様にお話を伺いました。









国産メーカーとして


1975年にマイクロピペットの製造をスタートし、1989年には日本初のピペット修理・校正を専門におこなう会社(株)サイメックを設立することで技術やノウハウを蓄積。2011年に校正サービスセンターがJCSS校正事業者登録を取得しています。


ニチリョー 新井さま 磯貝さま

JCSS校正事業者登録を受けて、変化はありましたか?
「校正の依頼は年々増加しており、2016年比で3倍以上になっています。これは計量法の改正でピペットのJCSS校正ができるようになったことと、研究者の方々の校正に対する意識が高まった結果とみています」



法律の改正といえば、JIS(日本工業規格)の改正に関わったと伺っています。
「JISに掲載されていたマイクロピペット校正手順が、国際的な手法ISO-8655と差があったことから、国産ピペットメーカーであるニチリョーは主査としてJISの改正作業に参加しました。
同業社などの要望を取りまとめ、原案を決める作業は非常に時間がかかりましたが、ISOとの整合性を持たせた新手順がJISの2013年版に収蔵されるに至りました。

今後も改正が続く欧米に対し、日本が遅れないよう国産メーカーとして規定の改定も含めて対応していきたいです」




顧客満足度No1を目指して


校正室内

校正のために、研究者が使えない日をできる限り少なくするため、お預かりした日の翌日には出荷することを基本とし、常にそのための設備やオペレータ人数の最適化を心がけているそうです。

しかし、校正結果である“不確かさ”の要因には、オペレータの手技も含まれています。
このため、測定力量の向上や教育が重要であり、急にオペレータを増やす事ができません。
「オペレータ候補者は、当社の教育訓練規定に基づきトレーニングをスタートし、社内認定試験を受ける事で測定オペレータに認定されます」
この様に、オペレータを常に育て人数の最適化を実現し、短時間での校正を実現しているとの事です。





国産メーカーとして、常にユーザーニーズに応えてきたニチリョー



12ch一括校正

「マルチチャンネルピペットの校正は、複数あるチャンネルから数本を選定して校正するケースが一般的です。
仮に“全チャンネルの校正、ノズル間のバラツキを見たい”という要望に対応する場合、1本ずつ全12本の校正を実施せねばならず10時間ぐらいかかってしまい、翌日返送が難しくなってしまいます。
そこで、日本で唯一の12chまで同時に測定できるマルチチャンネルピペット校正用精密天びんを導入しました。
非常に高額な装置ですが、この装置を用いることでシングルチャンネルと変わらない測定時間でマルチチャンネルピペットの全チャンネル校正が実現できるようになり、お客さまに非常に好評です。」
最近では、さらにユーザーのニーズに答えるため、他社製品のピペットについても校正サービスを開始。
ユーザーニーズに答えるべく様々な取組みをされています。




ニチリョーの校正サービスセンターは、最先端機器と確実な教育のもとユーザーニーズに応える運営がされていました。








ザルトリウス


天びんで有名なザルトリウス社(ドイツ)は、2011年にフィンランドのピペットメーカー「Biohit」を傘下に収め、ピペットの取り扱いを開始。2012年には、東京・市ヶ谷にあるサービスセンターがピペットのJCSS校正事業者登録を取得しました。自社製品に限らず、他社製品の校正も積極的に実施するザルトリウス社の校正担当 中村マネージャーにお話を伺いました。



他社製品の校正も実施する


全世界で展開されている“ピペットドクター”とは、どの様なサービスなのでしょうか?

ザルトリウス中村さま

「ヘルシンキにあるサービス部門には、Biohit社の頃からの長年に渡る実績から、各社の様々なデータが蓄積されており、その指導のもと、多くのメーカーのピペットに対応できる体制となっています。
具体的には、内部クリーニング、グリスアップ等のメンテナンス/調整をおこなった後、検査室内で測定を実施し、ISO 8655に準拠した合否判定付の精度検査成績書を発行しています。
測定前におこなうのは、メンテナンスと調整であり、修理はしていません」



※ISO 8655
ピペットなどについて、用語の定義、使用上の推奨事項、精度測定方法などを規定した国際的な標準規格。



“ピペットドクター”の結果、修理が必要と判断した場合は、各メーカーに修理を依頼するか、そのまま返却するかをユーザーが選択できるそうです。

このピペットドクターでの経験と実績を元に、JCSS校正を提供されています。





JCSS検査室について


微量校正システム


外気や振動の影響が少ない地下にある測定室は、一定の温度湿度に保たれています。
「ピペットは温度の影響を無くすために2時間以上前に室内に入れ、弊社の強みである天びんをベースにしたピペット校正専用システムを用いてデータを取ります。
具体的には、純水を用いてマイクロピペットの可変容量の最大値と最小値および中間値の3点において、それぞれ10回分注し各重量を測定し、体積換算しており、
温度・湿度・気圧などによる補正計算なども実施される独自ソフトウエアを用いています。

微量分注の場合、分注直後から蒸発により数値が変動するため、室内の湿度管理とともに測定部周辺の蒸発を防ぐ機構が非常に重要になのです」


訪問した時も他社製ピペットの校正作業がおこなわれていました。国内で多く流通しているメーカーについては、各社純正のチップを用意しているそうです。

「お客様のラボ内にある天びんもピペットも、全て弊社の製品で揃っていれば理想的ですが、実際は様々なメーカーの天びんやピペットを使われています。
その状況で、各社にそれぞれメンテナンスや校正を依頼するのは、手間も費用も余計にかかる。弊社にご依頼いただければ、天びんもピペットもメーカー問わず対応いたしますので、ぜひご活用ください。」


最近のピペット校正依頼の動向


「校正依頼は年々増えてきています。
 当初は、製薬会社の品質管理部門がGMP取得のために依頼されるケースが多かったのですが、
 最近では、研究開発部門からの依頼も増えてきています。 また、製薬会社以外でも、受託検査会社、様々な企業の社内分析担当部署など、さらに病院の検査室からの依頼も増加中です。
「ピペットにもメンテナンスや校正が必要だ」という認識が広まってきたのでしょう」



ピペットだけでなく、天びんもメーカー問わずメンテナンスや、JCSS校正を実施するザルトリウス。
器具の調子が悪くなってから修理をするのではなく、定期的な校正を習慣づけてはいかがでしょうか?





本記事で紹介したサービスはこちら!



ニチリョー

JCSS登録施設で、マルチチャンネルを含め、短納期校正サービスを実施。
他社製ピペットについても対応可能です。
ぜひご相談ください。

こちらをクリック→ニチリョー校正サービスのページへ



ザルトリウス



JCSS登録施設で、各社ピペットの校正サービスを実施します。
ピペットだけでなく、天びんや分銅のJCSS校正についても各社対応可能。
ぜひご相談ください。

こちらをクリック→ザルトリウス校正サービスのページへ



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